2.経営事項審査を受けるまでの流れ|決算後から結果通知までをわかりやすく解説
公共工事への参入を考えているものの、
「経審は何から始めればよいのか」
「決算が終わった後、どのような順番で進めるのか」
「経営状況分析と経審は別の手続なのか」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
経営事項審査は、申請書を一度提出するだけで完了する手続ではありません。
決算変更届、経営状況分析、経営規模等評価という複数の手続を順番に進め、最終的に経営事項審査の結果通知書を受け取ります。
この記事では、決算後から結果通知を受け取るまでの基本的な流れを、わかりやすく解説します。
<前回の記事>
1.経営事項審査(経審)とは?公共工事を受注するための審査をわかりやすく解説
目次
- 経営事項審査の大まかな流れ
- 1.決算内容を確定する
- 2.決算変更届を提出する
- 3.経営状況分析を申請する
- 4.経営規模等評価を申請する
- 5.結果通知書を受け取る
- 6.入札参加資格を申請する
- 経審はいつまでに申請すればよい?
- 経審の準備で時間がかかりやすい部分
- まとめ
経営事項審査の大まかな流れ
経営事項審査は、一般的に次のような順番で進めます。
- 決算内容を確定する
- 決算変更届を提出する
- 経営状況分析を申請する
- 経営規模等評価を申請し、総合評定値を請求する
- 経営事項審査の結果通知書を受け取る
- 発注機関へ入札参加資格を申請する
経営状況分析と経営規模等評価は、それぞれ申請先が異なる別の手続です。経営状況分析は登録経営状況分析機関へ、経営規模等評価は建設業の許可行政庁へ申請します。
1.決算内容を確定する
経営事項審査では、原則として申請日の直前に終了した事業年度の決算日が、審査基準日となります。
そのため、まずは会社の決算内容を確定させます。
経審では、売上高や利益だけでなく、次のような内容も審査に関係します。
- 完成工事高
- 元請完成工事高
- 自己資本額
- 利益額
- 技術職員数
- 社会保険の加入状況
- 建設業の営業年数
工事の売上については、経審を受ける業種ごとに正しく振り分ける必要があります。
決算が終わってから慌てて整理するのではなく、日頃から工事台帳や契約書、注文書などを整理しておくことが大切です。
2.決算変更届を提出する
決算内容が確定したら、建設業の許可行政庁へ決算変更届を提出します。
建設業許可を受けている事業者は、毎事業年度の終了後4か月以内に、決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届には、主に次の書類が含まれます。
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 建設業用の財務諸表
- 納税証明書
経営事項審査を申請する場合は、審査対象となる事業年度の決算変更届を、先に提出しておく必要があります。
工事経歴書の内容が経審にも影響します
決算変更届で提出する工事経歴書や完成工事高は、経審の申請内容にも関係します。
決算変更届と経審で工事金額や業種の振り分けが異なっていると、確認や修正が必要になることがあります。
そのため、経審を受ける場合は、決算変更届を作成する段階から、経審を意識して工事内容を整理することが重要です。
3.経営状況分析を申請する
次に、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関へ、経営状況分析を申請します。
経営状況分析では、会社の財務諸表をもとに、収益性や財務の健全性などが数値化されます。
この結果が、一般に「Y点」と呼ばれる経営状況の評価です。
申請後、分析機関から「経営状況分析結果通知書」が発行されます。
経営状況分析機関は複数あり、申請方法、料金、結果が届くまでの期間などは機関ごとに異なります。
経営状況分析の結果は、総合評定値を請求する際に必要となります。
経営状況分析の結果が出たら、建設業の許可行政庁へ経営規模等評価を申請し、あわせて総合評定値を請求します。
4.経営規模等評価を申請する
経営状況分析の結果が出たら、建設業の許可行政庁へ経営規模等評価を申請します。
あわせて、通常は総合評定値の請求も行います。
経営規模等評価では、主に次の項目が審査されます。
- 完成工事高などの経営規模
- 技術職員数や元請完成工事高などの技術力
- 社会保険、防災協定、建設業の営業年数などの社会性等
経営状況分析によるY点と、経営規模等評価によるX・Z・Wの各評価をもとに、総合評定値であるP点が算出されます。
申請先は許可区分によって異なります
経営規模等評価の申請先は、建設業許可の区分によって異なります。
- 知事許可業者:許可を受けている都道府県
- 大臣許可業者:主たる営業所を管轄する地方整備局等
茨城県知事許可業者の場合は、茨城県に申請します。
書面申請のほか、建設業許可・経営事項審査電子申請システム「JCIP」を利用した電子申請も可能です。電子申請には、原則としてGビズIDプライムが必要です。
5.結果通知書を受け取る
経営規模等評価の審査が完了すると、結果通知書が交付されます。
あわせて総合評定値を請求した場合は、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」として、申請した業種ごとのP点が通知されます。
- 完成工事高などの評価
- 経営状況の評価
- 技術力の評価
- 社会性等の評価
- 総合評定値(P点)
経審は会社全体に一つのP点が付くのではなく、土木一式工事、建築一式工事、電気工事など、申請した業種ごとにP点が算出されます。
この結果通知書は、発注機関へ入札参加資格を申請する際などに使用します。
6.入札参加資格を申請する
経審の結果通知書を受け取っただけでは、すぐにすべての公共工事の入札に参加できるわけではありません。
工事を受注したい国、都道府県、市町村などへ、別途、入札参加資格審査を申請する必要があります。
発注機関は、経審による客観的な評価に加えて、各発注機関が独自に定める基準を審査し、業者の順位や格付けを決定します。
入札参加資格の受付時期や有効期間は、発注機関によって異なります。
公共工事への参入を予定している場合は、経審だけでなく、希望する発注機関の受付時期も事前に確認しておくことが大切です。
経審はいつまでに申請すればよい?
経審の有効期間は、結果通知書を受け取った日からではなく、審査基準日である決算日から1年7か月です。
継続して公共工事を直接請け負う場合は、有効期間に空白が生じないよう、毎年経審を受ける必要があります。
関東地方整備局では、有効期間を切れ目なく継続させるため、毎年、決算終了後4か月以内を目安に経審を申請するよう案内しています。
例えば、3月決算の会社であれば、7月末頃までに経審を申請できるよう準備を進めるイメージです。
ただし、決算変更届や経営状況分析にも時間がかかります。
そのため、決算が確定したら、次の順番で速やかに進めることが重要です。
決算変更届
↓
経営状況分析
↓
経営規模等評価・総合評定値請求
↓
結果通知
↓
入札参加資格申請
経審の準備で時間がかかりやすい部分
初めて経審を受ける場合は、特に次のような資料の整理に時間がかかることがあります。
- 工事を業種ごとに分類する作業
- 工事請負契約書や注文書の確認
- 元請工事と下請工事の区分
- 技術職員の資格や在籍状況の確認
- 社会保険や雇用保険の加入資料
- 防災協定や退職金制度などの確認
経審の点数だけを考えるのではなく、申請内容を証明できる書類がそろっているかを早めに確認しておくことが大切です。
まとめ
経営事項審査は、決算後に次の流れで進めます。
- 決算内容を確定する
- 決算変更届を提出する
- 登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請する
- 許可行政庁へ経営規模等評価を申請し、総合評定値を請求する
- 経営事項審査の結果通知書を受け取る
- 発注機関へ入札参加資格を申請する
経審は、決算変更届、経営状況分析、経営規模等評価という複数の手続から成り立っています。
また、結果の有効期間は決算日から1年7か月であるため、継続して公共工事を受注する場合は、毎年、決算後速やかに手続を進める必要があります。
当事務所では、決算変更届の作成から、経営状況分析、経営規模等評価申請まで、経営事項審査に関する手続をサポートしております。
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